けふっとしてそこはかとなく笑えてこわくてだだっぴろい世界へ。ただいま超不定期更新中(なかにしけふこ)
by hortus71
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ネーモー・コンチェルタートの谷川俊太郎特集

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ネーモー・コンチェルタートの谷川俊太郎特集に行ってきました。
決して人畜無害ではない谷川俊太郎がみごとに音楽になっていて抱腹絶倒でした。
谷川俊太郎のしもねた詩と地球人に恋してlost in translationになった宇宙人風の相聞歌の世界が、良い意味での男子校のりに乗せて語られます。
辻康介さんの闊達な歌、根本卓也さんの遍歴の錬金術師(?)風味のチェンバロ、鈴木広志さんの好青年的サクソフォン、みなさんキャラクターが立ってます。今回は出演者全員が作曲も担当。谷川俊太郎に抱腹絶倒のしもねた詩があることは少し作品を読み込んだ人には知られるところですが、あえてそこにつっこんでおもわず笑わずにはいられない舞台を作り上げるネーモー・コンチェルタートの皆さんには感服です。みなさん詩をよく読み込んでいらっしゃる。いくらでも下品にできる話題なのに、ぎりぎりのところで下品に落とさないバランス感覚もお見事。
辻さんの作品はルネサンス・バロックのイタリア音楽にもそんなコミックソングがあったのでは、と感じさせる語法、古楽好きの笑いのツボを遺憾なくくすぐります。《うんこ》には谷川俊太郎のラブレー的側面が過不足なく音楽として表現されていました。日本発のネオ古楽として売り出せるのでは。
根本さんのシアターピース風の作品には、さすが新国立劇場の副指揮者としての経験が生きています。平均律第一巻第一番のプレリュードにエロチック近代音楽風のパートを絡めた《ポルノバッハ》も抱腹絶倒、谷川俊太郎の詩のうすなさけのにじむ含羞を男声二重唱で拾い上げる《これが私の優しさです》も良い味出してました。これは男声二重唱だからこそ出せる味わいです。《なんでもおまんこ》が最強でした。これは辻さんの役者ぶりがあるからこそ映える。「これじゃまるで死んでるみたいだなあ/笑っちゃうよ/おれ 死にてえのかなあ」の落ちに向かってまっしぐら。ぜひ多くの方に聴いていただきたい。再演を期待します。《あなたはここに》は谷川俊太郎の王道ロマンチック、これからいろいろな人に演奏される曲になるのではないかと思います。
鈴木さんによるポップなたにしゅんコミックソングがまた愉快でした。ステージングも演劇的で、そのまま超短編映画の劇伴になりそうです。サクソフォンの多様な声も生きている。吹奏楽少年少女にぜひこの楽しみを知ってほしいですね。《花屋さん》の可笑しさはもう聴いていただくしかない。再演を期待します。
谷川俊太郎の詩はやはり耳で聞いて意味がわかるし、ユーモアと抒情があって音楽にのりやすい。なるほど三好達治の後継者の面目ここにあり。改めて読んでみたくなりました。ネーモー・コンチェルタートの谷川俊太郎特集はこれからも展開されるようです。現代詩の世界の人にも、谷川俊太郎ファンのみなさんにも、俊太郎さん本人にもぜひ聴いていただきたい。
「おなら」と「詩人の墓」をリクエストしてきました。続編を期待します。
by hortus71 | 2014-11-07 12:10
《大いなる沈黙へ》をみました >>