新・けふぶくろ:けふ詩への道
2014-04-08T23:29:37+09:00
hortus71
けふっとしてそこはかとなく笑えてこわくてだだっぴろい世界へ。ただいま超不定期更新中(なかにしけふこ)
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『現代思想2014年5月増刊号 総特集・折口信夫』に「幻影の人の叢林をゆく 西脇順三郎から見た折口信夫」を書きました。
http://hortus.exblog.jp/21738694/
2014-04-08T23:28:00+09:00
2014-04-08T23:29:37+09:00
2014-04-08T23:28:02+09:00
hortus71
けふ詩への道
「総特集・折口信夫」、よい冊子です。安藤礼二さんの巧みなキュレーションが光ります。豪華執筆陣がさまざまな角度から巨星の輝きを照らし出します。長く読まれる冊子になると思います。手になじむ装幀も美しい。みなさまぜひお手にとってごらんください。
東大宗教学関係からは、巻頭エッセイに中沢新一さん、対談に島薗進先生、論考に津城寛文先生と江川純一氏が登場。大活躍です。
そして、私の高校同窓の大先輩である小松和彦・赤坂憲雄両先生と同じ誌面に登場するという念願がはじめて叶いました。
☆
私の主専攻は帝政後期ローマ/初期ビザンティン宗教文化史ですが、この時代に折口信夫がまったく関係ないわけではないのです。折口信夫はユリアヌスの大ファンでした。ことしどこかでこの話をしたいのですが。
ポスト・ローマ期には西脇順三郎は関係大ありです。だってローマ帝政期から中世後期までのゲルマン文学の「永遠をめぐる長期的持続」の心性史ともいうべき『古代文学序説』があります。
『古代文学序説』には、英語が敵性言語だった時代の日本人による著作としてはやはり瞠目すべきスケールの大きさがあります。
『古代文学序説』は戦前戦中の西脇順三郎の文学論文学史論の集大成として読むべき作品で、いまではそのまま首肯しがたいところもいろいろあります。中世英文学研究者からのコメントとしては松田隆美先生のすぐれた論考「中世学者としての西脇順三郎」を勧めます。
私といたしましては、西脇順三郎が『ガリア戦記』からアウグスティヌス、ボエティウスに至るラテン文学をどのように読んだかを検討したいと思っています。幸い津田塾大学と小千谷市立図書館・西脇順三郎記念室に現存する西脇蔵書からかなりのレファレンスが可能だという手掛かりをえました。
『古代文学序説』は西脇の「古代・中世ゲルマン文学の心性史叙述」の試みです。ここで言及される古代末期の「永劫の人」のあらわれをめぐる(宗教関係の)代表的著作家はやはりアウグスティヌスとボエティウスです(カッシオドルスが出てきたかどうかは確認しておきましょう)。このような歴史観には、西脇が参照した思想史・文学史叙述の性質も何らかの影響を与えているでしょう(エティエンヌ・ジルソンの作品は相当読み込んでいたようです)。古代末期のガリアの文化を知る上では必須史料ともいえるアンミアーヌス・マルケリーヌス、ノラのパウリヌス、ボルドーのアウソニウスらの作品には言及がありません。これはなにを意味するのか。。
古代末期のガリア・ゲルマニアと文学をめぐる話題といえばむろん宮廷の文人たちとサロンをつくって喜んでいたユリアヌスも登場するはずですが、西脇順三郎はこの話題にまったく言及しておりません。ライト訳注によるユリアヌス著作集も一九二〇年代にはすでにロウブ叢書から出ていましたから、西脇がそれらを読めないことはなかったはずです。
一方で折口信夫はメレシコーフスキイ『神々の死』を通してユリアヌスの大ファンになりました。折口信夫をめぐる西脇の回想にはこの話題がまったく出てきません。若き日の西脇が傾倒したウォルター・ペイター『享楽主義者マリウス』はマルクス・アウレリウスの治世が舞台です。これはいったいどうしたことだ。。。。という感触を得たところです。
『古代文学序説』でも文学史叙述に「遠いものどうしの衝突と連結のおどろき」(これは『超現実主義詩論』以来の西脇の詩的信条でもある)を出したがったりと不思議なところもあるのですが、文学のなかにほのみえる永劫のけはいの心性史を書こうとしたスケールの大きさはやはり魅力的です。
折口信夫が折口語彙を使い、民俗学の手法を駆使して古代の日本文学の心性を描き出そうとしたように、西脇も主に当時の英仏の宗教人類学/民俗学の方法論によってだけでは語れない古代・中世文学のなかの永劫のあらわれを「永劫の人」という西脇語彙(!)を使って語ろうとしたのではないか。
そのあたりのことを今回「現代思想」の折口特集号に寄稿した論考でも書きました。そして西脇の古代と「永劫の人」の話題はこれからもうすこし丁寧に読み込んで議論を積み重ねてゆけば一冊の本になるだろうという手掛かりをえたところです。みなさまよろしくお願い申し上げます。
Kyoko Nakanishi, April 2014
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新けふぶくろ再起動。そして怪談短歌
http://hortus.exblog.jp/21314517/
2014-01-23T08:18:00+09:00
2014-01-23T09:12:35+09:00
2014-01-23T08:17:47+09:00
hortus71
けふ詩への道
こちらではたいへんごぶさたしておりました。
なかにしけふこです。
東直子さんが『怪談短歌入門 怖いお話、うたいましょう』(メディアファクトリー、2013年)の前書きで、2010年夏にTwitterで展開しておりました「怪談短歌百物語」のログをご紹介くださいました。
ありがとうございます。
事情によりこちらでは80首目までのログが現在掲載されております。
「怪談短歌百物語」は、あまりにも暑いので短歌で怪談をして涼もうという短歌なかまとの思いつきから始まった企画でした。
東直子さんはそれをきっかけに怪談短歌を大きなムーヴメントに広げてくださったのでした。
『怪談短歌入門 怖いお話、うたいましょう』は東直子さん、佐藤弓生さん、石川美南さんお三方の共著です。選歌選評と対談も読み応えがあります。
これから短歌をはじめたい皆さんにも、すでに短歌にかかわっていらっしゃる皆さんにも楽しめる本です。
そして表紙もさりげなく可愛い。
おすすめです。
現実のほうが怪談的想像力を超えているのではないか、と感じられるできごとにも事欠かないこのごろですが、だからこそ怪談短歌はひろがりのあるムーヴメントになるでしょう。
「女の子のためのこわい文芸誌」『冥(Mei)』とコラボレーションしたTwitter怪談短歌コンテストは今度三回目を迎えました。
入賞作品発表と講評の会「怖いお話、うたいましょうin紀伊國屋書店新宿本店」が2月22日土曜日13時から紀伊國屋書店新宿本店が行われます。
イヴェント予約申し込み方法など、詳しくはこちらをどうぞ。
http://ddnavi.com/yoo_mei-contents/kwaidantanka/
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第一詩集の刊行から4年が経ちました。
それから博士号の取得もあり、震災もあり、このブログも閉じて心機一転新たな場所を造ろうかと思っていたところでした。
せっかく東直子さんからこのブログをご紹介いただいたことですし、久々に再起動することにいたします。
こちらでは140字に盛りきれない文字の話や眼福の話や音楽の話や香りの話や食べ物の話なども載せて参ります。
詩学と宗教学宗教史学をつなぐ書評ブログもただいま起動準備中です。
研究関係のプロフィルはこちらをごらんください。
今後ともよろしくお願い申し上げます。]]>
『トルタの国語 冒険の書』に西脇論を書きました。
http://hortus.exblog.jp/15085774/
2010-12-02T09:11:00+09:00
2010-12-02T09:17:26+09:00
2010-12-02T09:11:09+09:00
hortus71
けふ詩への道
ご依頼下さった河野聡子さんありがとうございました。
『超現実主義詩論』と『Ambarvalia』、『古代文学序説』と『旅人かへらず』、『第三の神話』『近代の寓話』の散歩の詩学と『えてるにたす』の永遠賛歌を経て、『ボードレールと私』『漢語とギリシア語の比較研究ノート』に至る中世的引用のプールと「眼の宗教」の詩学について書きました。ぜひ。
『トルタの国語』は12月5日の文学フリマで、トルタブースで販売されます。
通販もあります。
詳しくはトルタブログのこちらの記事をごらんください。
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